読書: 投資家心理を読み切る板読みデイトレード術

投資関連書籍

有名個人投資家のテスタさんが薦める数少ない本のうちの一冊。

この本の初版は2010年で私が手にしているのは第12刷(2021年8月) 多少の内容改定はあったのだろうが、10年以上も読みつがれていることもあり、良書なのだろうと思った。

まず、この本、最初から板読みのテクニックを解説するわけではなく、投資をするものとしての心構えからはじます。 全7章の内、第3章までは心構えに関する内容となっている。

投資初心者でまずはノウハウを学びたい人であれば、前半部分は面白くなく感じるのだろうと思うが、失敗を経験している者からすれば、耳が痛くもありつつも、至極まっとうで改めて心に留めておくべきことを述べている。 (副題の「5%であり続けるための考え方」は正しく、この前半の内容が表している。

第4章から実際の板読みの話が始まるのだが、板読みは心理戦という位置づけで説明している。 株の投資家には、ファンダメンタル系の人もいれば、テクニカル系の人もおり、取引期間でくくると、ファンダメンタルは中長期、テクニカル系は短期の取引と考えられている。 時間軸が短ければ短いほど、投資家の心理が反映されると言われており、例えばテクニカルでよく使う移動平均線は、株価のサポートになったり、抵抗になったりすると考えられているのは、投資家の心理が影響していると考えられている。

 著者は、株式投資を始める際に、自己分析として既存の投資家と比べて知識の差を認識し、長期投資で勝つことは難しいとの判断から、限りなく時間軸を短くした板読みで勝負することを決めた。 この板読みは究極に取引時間を短くすることで、投資家の「感情」だけが支配的になると考えたからである。 

板の読み方のノウハウを、実例を上げて紹介しているが、板の見方の基本として以下の4つを挙げている。

  1. 配置・変化・売買成立・上書き、から印象を探る
  2. 薄い戦闘指値は成立しやすい
  3. 歩み値の見方について
  4. 腰が据わっているかどうかを見る

確かに、日経先物の板を見ていて、株価を上げさせないために、ATMの少し上に大きな売り玉を入れて、心理的なプレッシャーを賭けているケースをたまに見かける。
(前述のテスタさんも、板の動きを見ていて、知り合いの投資家が参戦していることが分かったという。 ) ただ、この知識をもとに、実践の場で雰囲気を読み取れるようにならないと、本を読んだだけでは板読みトレードは難しいのだろうなと思う。

細かいノウハウは、時代とともに変化してしまい、使えなくなってしまうケースは多々あると思う。 その中で、実際の取引の中で掴み取った板読みの本質を紹介してくれている本書は非常に役に立つと思う。

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