サブプライムローンの崩壊に賭けた投資家の物語。
今まで手堅くM&A系の投資を行って来た主人公のジョン・ポールソンが同僚と共に住宅市場の崩壊を予想する。
日本のバブルの時もそうだが、順調に右肩上がりの時には景気が悪化することなど微塵も考えない。 不動産の高騰で巨額な利益を稼ぎ続けている楽観論者のファンドからは、冷ややかな目で見られつつ、主人公は自分の信念を貫き通し、サブプライムローンの崩壊により最終的に巨額な利益を手にする。
アメリカのノンフィクション小説にありがちな平坦な語り口であること、また金融系の物語であることから、全般的には読み辛いかった。 しかし、クライマックスの住宅市場崩壊の部分からはかなり面白く読み進めることができた。
この小説で学んだことは、
1) 世間の噂・評判ではなく、客観的な情報で正しく判断することの重要性
2) 少数派であることの「不安」にどの様に打ち勝つのか。
に尽きる。
株取引の経験があるが、まさしく同様の状況に陥る。 業界で有名な人の言葉を信じたり、多数派であることに安心したり。 また、利益が出ているからと売り急いだり。
真実を見極め、風評に流されること無く自分でしっかりとした判断基準を持てと教えられた一冊である。
これは、小説よりも映画やドラマであれば十分面白いだろうなと思ったら、既に同じ様な話があり、こちらはちゃんと映画化されていた。
マネー・ショート (映画)
世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (小説)
「世紀の空売り」の方の主人公は、マイケル・バーニー
「史上最大のボロ儲け」の方の主人公は、ジョン・ポールソン
サブプライムローンで市場が熱狂していた時に、冷静に同じことを考えていた人が少なくとも2人も居たということか。
コメント欄