前回読んだ本がきっかけで、別の桜井章一氏の本にも手を伸ばしてみた。 本書も10年以上前に出版された本ではあるが、学びはあったと思う。
裏麻雀界で20年間無敗を打ち立てた伝説の雀鬼、桜井章一氏による、負けない技術指南。
自分自身が何かを極めたわけではないが、一つのことを極めると人間の生き方という哲学的な思想に行き着くと思っていた。 本書はまさしくそれを実感させるものであった。
「勝利」の対極にあるものが「敗北」であり、2つとも背反関係にありかつ独立に存在すると信じていたが、「負けない」ということが勝利と敗北の中間に存在し、勝つことではなく、負けないことが重要であることを再認識させられた。 普通のノウハウ本であれば、なるほどと納得するレベルで終わるものが、修羅場を潜り抜けてきた著者のメッセージには本物が放つ真実味があり唸らざるを得ない。
本書を読んで、感じ入った部分を抜粋する。
■勝ちにこだわる人
勝負は「得ること」と「与えること」のバランスによって成り立っている。 勝ちだけにこだわるとそのバランスが崩れる。「勝ちたい、勝ちたい」という思いのままに突き進むと、それは負ける努力をしていることになる。 負けないための努力は「必要なことだけをやっていく」。 必要なものだけを選び、不必要なものがやってきたら耐える。
■流れを感じ取ること
勝負は常に変化している。 勝機というチャンスは人によって勝機になるし、単なる機で終わることもある。 勝機を掴むためには何にでも合わすことができるようになること。 それによって多くの勝機をものにできる。 また、勝負は気づきの多さで決まる。 訪れたチャンスをチャンスと認識し捉えることが大切。
■「チャンス」と「勝負どころ」の違い。
チャンスは流れの中で優位に進めることができるタイミングで、通常ピンチーチャンスの繰り返しで出てくるもの。
その一方、勝負処はピンチの中のピンチで圧倒的に不利な状況で訪れるもの。 不利なときにも逃げないで対処する習慣を作ることにより勝負所の力を磨くことができる。
■真の強さとは
負けない人は手の内を明かしてその欠点を相手に知られたとしても、その弱いところで戦えるほどの強さを持っている。
また、敵も味方の境地にたどり着くこと。 勝つことや負けることよりも”いい勝負”をすることが真の強さではないか。
今の自分にピッタリ合った、含蓄あふれる言葉の数々に、相場に真摯に向き合う勇気をもらった気がする。