格闘ゲームにおいて14歳で日本一、17歳で世界一を達成した著者による勝ち続けるための努力、思考法の本。
一般的にゲームは社会権を得ていない。あくまで子供の娯楽という位置づけである。 その様な子供のお遊びを極めたところで、通常社会から認められるようなことは通常ありえない。 しかしである。本書はその既成概念を覆す。
筆者の梅原氏は、ゲームという特殊なジャンルを極めることにより、勝ち続けること、結果を出し続けるために何をすべきなのかを体得している。
予てから、どんな類の事であっても突き詰めて極めることが出来れば、人生哲学や社会の縮図を学べるのではないかと漠然と感じていた。
例えばトップアスリートが、常に高い位置に居続けるために続けている努力や考え方は、戦う場所やジャンルを変えたとしても通用すると信じている。 スポーツならば当然ありうる話だと思っていたが、よもや格闘ゲームの世界を極めることで勝負の哲学が身につくとは予想だにしていなかった。 しかし本書を読むと著者が格闘ゲームという世界を通して一般人とは違う感覚・思考を身に着けていることが分かる。
半分以上が梅原氏の自伝となる。(と言ってもまだ彼は30歳ちょっと)通常他人の自伝はあまり面白いものではない。 しかし、彼が今に至るまでどのような生活環境にあり、どれだけ葛藤しながら生きてきたかは、その後に語られる勝ち続けるための思考法を理解するのに一役買っている。
梅原氏の金言は以下のとおり。
・勝ち続けるために同じ努力を10年間続けられるか? 勝つための努力ではなく、勝ち続けるための努力が必要。
・自分のスタイルや好みの方法にこだわらずすべての可能性を試し研鑽する。
必勝パターンや自分の好みの方法のみに頼っていると、いずれは壁に突き当たり成長が止まってしまう。
また勝負の本質は個人の好みやスタイルとは関係ないところにある。
勝つための最善の行動を探ることが重要。
・10の強さは既に先人が到達しており、模倣し努力すれば誰でも到達できる。
しかし11,12,13の強さは自分だけの道を開拓した人のみがが到達することが出来る。
・自分を痛めつけるだけの努力はしてはいけない。 傷めつけると努力した気になる。
しかしそこからは痛みと傷以外には何も生まれない。
努力は量より質。 何も変化が見いだせなかった15時間より、小さな変化が見いだせた3時間のほうが有益。
このような考え方ができたのは、梅原氏が格闘ゲームに対して真摯な姿勢で取り組んでいたからであろう。 単なる「格闘ゲーム」を「格闘ゲーム道」に昇華させた結果と思う。
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