メンタリストと言われるとDaiGoしか思い浮かばないが、ネットで調べてみると、
”超常現象パフォーマーのメンタリストDaiGoが肩書きとして使用し、日本に広めた言葉。彼の定義では、心理学に基づく暗示や錯覚などのテクニックを駆使し、常識では考えられないようなパフォーマンスを見せる人を指す。”
コトバンクより
と、定義がしっかりしていない感じだ。
名前に”メンタリスト”と付けたのは、心理学などを勉強して投資に活用している事と、メンタリストというキャッチーな言葉を入れることによる注目度の向上なのではないかと勝手に想像している。
フードをかぶったミステリアスな(まるでゲームのアサシンクリードの様な)風貌なので、このネーミングはぴったりなのかとは思う。
本書では投資の直接のテクニックに関する事(著者はFXをメインとした投資家なのでFXに関するテクニック)は僅かで、もっぱら投資家に必要なメンタル部分に関することが述べられている。 従い、FX投資の手法に飢えている人が読むと、不完全燃焼な本だと思うが、投資に向き合うためのメンタル的な対処法を知りたい人には有益な本だと思う。
実際、投資で失敗している私としては、参考にしたい部分が多々見つかり、参考になる本だった。
気になった部分、参考になった部分を抜粋し、まとめてみた。
失敗事例の分析
メンタリストSaiの失敗事例だが、著者は短期間で-700万円も損失を出したとのこと。そこにはプロスペクト理論で説明される危険な心理が働いていたからである。
一番危険な心理とは、 「損を取り戻そうとする心理」であり、その結果 「損を取り戻そうと大きなリスクを取ってしまう」ということ。
- プロスペクト理論とは、「人の判断は、不確実性がある判断のとき、条件や状況によって、合理的な価値判断ができない場合がある」「得をした嬉しさよりも、損をしたガッカリ感を強く感じる」こと。
対策としてはマイルールを作って遵守する。 → ルールを破って失敗すると「どうにでもなれ効果」になりがち。 従って、「小さなルールほど守らなくてはならない」
また、著者は逆張りのみを追求して損失を重ねてきたが、収益が改善しだしたのは、今までの逆張りを捨てて、順張りに転換したときだという。
なぜ、逆張りの投資手法から抜け出せなかったのか。 それは損失回避性があり、そのため「現状維持バイアス」にとらわれていたからである。
- 損失回避性 → ある額を得る場合(gain)の効用と失う場合(loss)の不効用を比べると、後者のほうが大きいという個人の選好。
メンタリストSaiのマイルール
「ギャン理論」の価値のある28のルールを参考にしている。
特に参考になるものを3つ。
1. 十分な理由がないのに手仕舞わない
2. 値頃感で取引しない
3. 盲目的に人のアドバイスに従わない
ルールを作るのは簡単だが、守るのが難しい。
負けない投資家に必要な3つの要素
- 客観性を持つ
- 誰かに見られていると想像する
- 第三者として自分にアドバイスする → 人は自分の感情を読むより、人の感情を読むのが得意だから
- 少数派であり続ける
- みんなが欲しいと思っているときに買うと大衆の一部となり、利益を上げることが出来ない → バンドワゴン効果
- 合理脳を持つ
- 特定のバイアスの知識を持つことで、バイアスの罠にはまらないようにする。
投資家として勝ち残るためには
- 失敗して大損したときの対処法
- 過去の出来事だと強く思う(マインドワンダリングを避ける)
- 他のなにかに没頭する
- チャートを一定期間見ない
- 「トレードは楽に儲けられるものの中で最も難しい」 (ゾーン 最終章 by マークダグラス著)
「まず生き残れ。 儲けるのはそれからだ」 by ジョージ・ソロス
- チャート分析(テクニカル分析)を続けて、使える手法と使うタイミングを判断する能力をつける。
- 休むも相場
- トレードしない時間を如何に有意義に使うかが重要
- 木こりのジレンマ
成功事例を本にしたり、記事にしたりしているのはよく見かけるが、個人的には失敗例を見てみたい。 それは、失敗にこそ色々な学びや教訓が詰まっていると信じているからであり、それを如何に克服するかが重要だと思っているからである。
そして、その失敗の大半は、自分の感情によるものだということは本書にも記載されていることであるし、私もそう思っている。
メンタルにフォーカスした本書は、投資に対する心構えという点で勉強になる本であった。
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